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creative people:photo

桜フォトコンテスト2008 後期

桜フォトコンテスト2008 後期特別賞 結果発表

■講評
○全体の講評:小林義明 (風景写真家)
今年の桜は開花が早かったおかげもあってか、前半にも増していっそうたくさんの写真が応募がありました。ゴールデンウィークの連休もあり、比較的天気に恵まれていたことや前半のコンテスト結果を見てさらに工夫をしている写真もあり、力作も多かったと思います。身近な桜、想い出の桜、憧れの桜など、たくさんの桜が皆さんの心の中にあるのですね。写真のうまい下手にかかわらず、それぞれの写真に違う桜があることを感じました。昔からまっさきに春がやってきたことを教えてくれ、気持ちを明るくしてくれる桜。私たち日本人にとって欠かすことができない桜を、これからも皆さんが自分の行動で、写真を通して、大切にして見守っていってほしいと思います。私の住んでいる北海道釧路エリアでは、5月中旬が桜の開花となります。みなさんのようにたっぷりと桜を楽しみたいと思っています。

○全体の講評:石川 薫 (『風景写真』編集長)
桜は古今、様々な表現において愛されてきたように、風景写真においても、桜ほど撮影のモチーフとして愛されている樹種は他にありません。今年も多くの風景写真愛好家が、桜を求め、各地を彷徨ったことだと思います。ネットを利用して、皆さんから桜の作品を集めたこのコンテストも、前期、後期とも多くの作品が集まり、私たちも楽しませていただきました。特に後期は力の入った作品や、ユニークな視点の作品が多く集まったと感じています。今、書店では『風景写真』5-6月号が並んでいますが、一つ前の3-4月号では、プロ風景写真作家・丹地敏明さんによる桜作品のギャラリーや、桜をテーマとしたフォトコンテストの入賞作品が掲載されています。皆さまの作品作りの参考になると思いますので、ぜひご覧になっていただきたいと思います。書店に注文されるか、もしくは弊社に直接お申し込みいただければ入手できます。

・クリピー投票部門 上位作品を見る   ・審査員特別賞  受賞作品を見る   

特別賞 受賞作品

桜陰の刻

桜陰の刻

特別賞

asuradoさん

石川「手前から伸びる影が前景として効いていますね。影と桜でお堂を包み込むような構図になっていて、奥行きを感じます。」
小林「この陰を活かすために魚眼レンズを選んだことも成功に繋がっていますね。魚眼レンズらしい歪みはおさえながら広い画角を利用していて、お寺までの遠近感も適度に表現しています。枝の流れや陰の方向が、お寺に視線をむかわせるのですね。桜がこのお寺を見守っている反面、密かに伸びる枝の陰がお寺を支配しようとしているような二面性を感じさせるところもありますね。人物は写っていませんが、ストーリーを感じさせる写真に仕上がってると思います。」

幽玄.jpg

幽玄.jpg

特別賞

yochanさん

小林「ライトアップされた桜の姿はよくありますが、時代劇かかった史跡の門や月、スローシャッターで流れた雲など映画のセットのような組み合わせで、タイトル通り『幽玄』な桜の姿が浮かび上がりました。なかなか撮影条件としては難しいのですが、月明かりとライトアップされた桜などの露出もバランスよくまとまりましたね」
石川「前景の灯籠が効果的に門や桜に視線を運ぶ役割を担っていて効果的です。妖しくも神聖な雰囲気のある写真なのですが、タイトルに一工夫があれば、もう少しストーリー性が加わったのではないでしょうか」

はざま

はざま

特別賞

kun2さん

石川「高層ビルのはざまに美しく咲く桜。都会の自然の姿を象徴的に描いている作品ですね。都会の桜は“自然”とも言えますが、“人工”の植栽でもあります。ソメイヨシノ自体が人の手により作られた品種であることを思えば、画面の中で咲き誇る桜も、なんとなく無機質に感じられる、というのは気のせいでしょうか」
小林「僕は都会と自然の「はざま」というイメージなのかなと思ってこの写真を見ていました。高くそびえる都心の高層ビルに囲まれた公園は、都市と自然を繋いでくれる場所でもあります。桜は昔から人の生活に密接していて、季節を教えてくれたり元気づけてくれたり、いつもそばにありました。時代が進みコンクリートに囲まれてしまっていても、桜のあり方は変わっていませんね。画面構成としても、魚眼レンズで桜を大きく見せビルを画面の中央に向けて配置したことで、桜に視線が集まってしっかりと主役になっています」

桜の下で

桜の下で

特別賞

kojikojiさん

石川「モノクロだから、というよりも仏像の造形、表情が何とも親しみやすく、懐かしい雰囲気にさせてくれる作品です。おそらく作者もこの仏像の表情に心休まる想いがして、あえて脇役に追いやって、仏像の表情を描くことに主題をおいたのではないでしょうか。長く垂れ下がった枝垂れ桜の枝が、この仏像がお寺を見守ってきた長い年月を思わせて、画面の味わいを盛り立てています」
小林「この桜は樹齢400年とのことで、この石像と一緒にお寺の歴史を見てきたのでしょう。きっと周りに桜がなければこのお釈迦様の表情も違うものに感じられるかもしれません。この写真はとくに奇をてらった撮り方をしているわけでもなく、あえてモノクロに仕上げて色彩さえなくしているのですが、桜の気持ちがお釈迦様の表情に表れているというのでしょうか、桜が持つ不思議な雰囲気はしっかりと込められているように思います。

観察・・・?

観察・・・?

特別賞

f-papaさん

小林「ジッと桜を見つめている男の子。こんなに間近で見つめられたら桜だって照れてしまいますよね。おかげで桜色もいっそう濃くなっていたとかいないとか。この男の子は初めて桜を見たということですが、ほんとうに興味深かったんでしょうね。そんな一瞬を逃さずに撮影できたお父さんもすばらしいと思います」
石川「あまりに近くで見ているために、寄り目になってしまった表情がいいですよね。子供って、ゲームやおもちゃを買い与えなくても、本当は何にでも興味を持って、遊んだり楽しむことができるのだと思います。瞬間的な判断で撮ったスナップだと思いますが、背景の入り方も整理されていて、主題がストレートに伝わる写真ですね」

桜の残り香

桜の残り香

特別賞

のりたろうさん

石川「演出された場面だと思いますが、邪な私は、桜、落花、そしてタイトルの残り香から、和の色っぽさを想像してしまうのですが……。いずれにしても、いろいろなストーリーを連想させる作品で、面白いと思いました」
小林「畳の上に落ちた桜の花。散った花びらも一緒にあって、わびさびともいえる和の雰囲気が強い写真です。シベの先端に光が当たっているのは、色を鮮やかに感じさせるのにとても効果的です。また、桜のシベや花びら、畳の一部など見せたい必要最低限の部分にしっかりピントが合っています。この写真で、風などすこしでも動きを感じることができれば、いっそう残り香の印象を強く見せることができたと思います」